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共有者全員の同意が必要?共有者の一人が売却に反対した場合の対処法や、相続で共有者が増えた場合の注意点まで分かりやすく解説します。
「共有名義の不動産を売却したいけれど、共有者全員の同意が必要なの?」「共有者の一人が売却に反対している場合はどうすればいい?」など、共有名義の不動産の売却には、単独名義の場合とは異なる注意点があります。
共有名義とは、ひとつの不動産を複数人で所有している状態のことです。夫婦で購入した住宅だけでなく、相続した実家なども共有名義になることがあります。
不動産全体を売却する場合は、原則として共有者全員の同意が必要です。一方で、自分が所有する「持分」だけを売却する方法や、他の共有者に持分を買い取ってもらう方法など、共有者間で意見がまとまらない場合に検討できる選択肢もあります。
この記事では、共有名義の不動産を売却する流れや注意点、共有者の一人が売却に反対した場合の対処法、相続によって共有者が増えた場合の注意点、共有持分買取業者への売却について分かりやすく解説します。
共有名義とは、ひとつの不動産を複数人で所有している状態を指します。正確な表現をすると、不動産の登記上も、複数人が所有者として登録された状態を指しています。夫婦で購入した住宅だけでなく、相続した実家なども共有名義になることがあります。
共有名義で不動産を取得すると、共有者それぞれが「持分」と呼ばれる所有権の割合を持ちます。例えば、4,000万円の不動産を夫婦で購入し、夫と妻が2,000万円ずつ資金を負担した場合、それぞれの持分は2分の1です。
共有名義の不動産を売却する場合は、単独名義の不動産とは異なる手続きが必要です。不動産全体を売却するには、原則として共有者全員の同意が必要になります。たとえ1人が9割の持分を持っていたとしても、単独で不動産全体を売却することはできません。
ここでは、共有名義不動産を売却する流れや注意点、共有者の一人が売却に反対した場合の対処法について解説します。
共有名義の不動産を売却する流れは、共有者全員の意思を確認し、不動産会社への査定依頼、媒介契約、売却活動、売買契約、決済・引渡しへと進みます。
まず、売却を進める前に共有者全員の意思を確認します。売却価格や売却時期についても、できるだけ早い段階で共有者同士の認識を合わせておくことが重要です。
その後、不動産会社に査定を依頼し、売却価格や販売方法について相談します。共有者が複数いる場合は、査定の段階から全員の状況を不動産会社に伝えておくと、後の手続きを進めやすくなります。
一般的な売却の流れは次のとおりです。
1.共有者全員で売却について話し合う
2.不動産会社に査定を依頼する
3.売却価格や販売方法を決める
4.共有者全員で媒介契約を締結する
5.不動産会社が売却活動を行う
6.購入希望者と条件を調整する
7.共有者全員で売買契約を締結する
8.決済・引渡しを行う
共有者の人数が多い場合や、遠方に住んでいる共有者がいる場合は、書類の準備や連絡に時間がかかることがあります。
共有者の一人が代表して不動産会社との連絡や書類のやり取りを行うこともできます。ただし、その場合は他の共有者から委任を受ける必要があります。委任状を使用する場合は、委任する内容や必要書類を事前に確認しておく必要があります。売買契約や決済時の本人確認・必要書類については、司法書士や不動産会社に確認しましょう。
売却が成立した場合、売却代金は基本的に各共有者の持分に応じて配分します。例えば、夫婦が2分の1ずつ所有する不動産を4,000万円で売却した場合、単純化すると、それぞれ2,000万円ずつが配分の基準になります。
ただし、住宅ローンの残債や売却にかかった諸費用などがある場合は、実際の受取額が変わります。
共有名義の不動産を売却する際は、共有者全員の同意だけでなく、相続、住宅ローン、税金についても確認する必要があります。
特に注意したいポイントは次のとおりです。
[共有者全員の同意が必要]
不動産全体を売却する場合、共有者全員の同意が必要です。
「自分の持分が半分以上あるから、一人で売却できる」わけではありません。例えば、夫が3分の2、妻が3分の1の持分を持っている場合でも、夫だけで不動産全体を売却することはできません。
一方、自分が所有している持分だけを売却することは可能です。ただし、持分だけを購入する人を探す必要があるため、一般的な不動産全体の売却と比べて買主が限定されやすくなります。
そのため、共有者の一人が売却に反対している場合には、持分だけを第三者へ売却する方法だけでなく、他の共有者に持分を買い取ってもらう方法も検討できます。
[相続によって共有者が増えることがある]
共有者の一人が亡くなると、その持分は相続の対象になります。
例えば、兄弟2人で実家を2分の1ずつ所有していたところ、兄が亡くなり、兄の持分を3人の子どもが相続した場合、共有者が増えることになります。
共有者が増えるほど、売却時に全員の意向を確認する必要があり、連絡や書類の準備も複雑になります。
特に相続した不動産を共有名義のまま長期間保有すると、さらに相続が発生して共有者が増える可能性があります。相続した不動産を利用する予定がない場合は、早い段階で売却や共有関係の解消について話し合うことが大切です。
[共有名義でローンを負担する場合は贈与税にも注意]
夫婦などで共有名義の住宅を購入した場合、住宅ローンの返済をそれぞれどのように負担するかも注意が必要です。共有名義の住宅を購入した後、どちらか一方の収入が減少し、もう一方が住宅ローンを多く負担するケースがあります。
このように、実際の資金負担と所有持分の関係が変わる場合、負担した金額によっては贈与とみなされ、贈与税が課税される可能性があります。
住宅ローンの返済負担を変更する場合は、税理士などの専門家に相談し、税務上の問題がないか確認することをおすすめします。
共有名義の不動産を売却する際に最も多いのが、「共有者の一人が売却に反対し、手続きが進まない」というケースです。
実際に、親が亡くなり、実家を2人の兄弟が相続して共有名義になった方からのご相談でした。
兄は「誰も住んでいないので実家を売却して現金化したい」と考えていました。一方、弟は「親との思い出があるので残したい」「できれば自分が住み続けたい」と考えており、売却に反対しました。
この場合、兄が2分の1の持分を持っていたとしても、兄だけで実家全体を売却することはできません。
ここで、兄が取り得る方法としては、次のような選択肢がありました。
・弟に兄の持分を買い取ってもらう
・兄が弟の持分を買い取り、単独所有にする
・兄自身の持分だけを第三者へ売却する
・共有物分割について専門家へ相談する
このケースでは、兄と弟がそれぞれの希望を主張した結果、売却価格や買取価格について折り合いがつかず、話し合いが長期化しました。その間に建物の老朽化が進み、空き家の管理負担も増えてしまいました。
このような事態を防ぐには、売却を検討する段階で共有者全員の意向を確認することが大切です。特に相続した実家の場合、「売りたい人」と「残したい人」で意見が分かれることがあります。最初から「売却する・しない」の二択にするのではなく、不動産全体を売却した場合の価格、共有者間で持分を売買する場合の価格、住宅として利用し続ける場合の負担などを整理して、共有者全員が比較できる状態をつくることをおすすめします。
どうしても全員の合意が得られない場合は、今回の事例のように自分の持分のみを売却する方法や、他の共有者に持分を買い取ってもらう方法も検討できます。
このように共有名義の不動産は、購入時には資金を出し合えるといったメリットがあります。一方で、売却時には共有者全員の同意が必要になるなど、単独名義にはない注意点があります。
特に相続によって共有者が増えると、売却や管理についての話し合いが難しくなる場合があります。共有名義の不動産を売却する際は、共有者同士で意向を確認したうえで、できるだけ早い段階から不動産会社や必要に応じて司法書士・税理士・弁護士などの専門家へ相談しましょう。
共有者の一人が売却に反対している場合、自分の共有持分だけを「共有持分買取業者」に売却する方法があります。共有者全員の同意を得ずに持分を現金化できる一方で、不動産全体を売却する場合と比べて、買取価格がかなり割安になることがあります。
また、持分を売却すると、買取業者が新たな共有者となります。その後、業者から他の共有者に持分の買取りや不動産全体の売却を求められることがあります。話し合いで解決できない場合には、「共有物分割請求」という手続きによって、裁判所に共有関係の解消を求める可能性もあります。
そのため、共有持分の売却を急ぐのではなく、不動産全体を売却した場合の価格や、他の共有者に持分を買い取ってもらう方法なども比較したうえで、自分に合った方法を検討することが大切です。