不動産売却の「囲い込み」とは?仕組み・具体例・防止策を解説

囲い込みが起こる理由やレインズとの関係、具体的な事例、売主ができる防止策をわかりやすく解説

不動産を売却するとき、「囲い込み」という言葉を聞いたことはありませんか?

囲い込みとは、売主から売却の依頼を受けた不動産会社が、他の不動産会社から購入希望者の紹介を受けても、物件を紹介しない行為のことです。

不動産会社は、売主だけでなく買主からも仲介手数料を受け取れる場合があるため、自社で買主を見つけようとして、他社への紹介を制限するケースがあります。

囲い込みが行われると、購入を希望する人に物件情報が十分に届かず、売却の機会を逃してしまう可能性があります。

この記事では、不動産売却における囲い込みの仕組みや具体的な事例、なぜ囲い込みが行われるのか、売主ができる防止策についてわかりやすく解説します。

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「囲い込み」とは?

不動産の囲い込みとは、不動産の売却を依頼された仲介会社が、意図的に他の不動産会社へ物件を紹介せず、自社で抱え込むことです。

不動産の物件情報は、「レインズ」という不動産会社間の情報共有システムを通じて、他の不動産会社にも共有されています。
そのため、本来であれば、ある不動産会社が売却を依頼された物件を、別の不動産会社が自社のお客様に紹介することもできます。

イメージ1:「囲い込み」とは?

例えば、A不動産会社が売主から売却を依頼された物件について、B不動産会社が購入希望者を見つけた場合、B不動産会社を通じてその物件を購入することができます。
ところが、売却を依頼されたA不動産会社が、他の不動産会社から問い合わせがあっても物件を紹介しないなどして、自社のお客様だけに販売しようとするのが囲い込みです。

物件情報を広く公開して購入希望者を増やすことで、早期売却につながる可能性があります。囲い込みによって購入希望者に物件が紹介される機会が減ると、売却が長引いたり、希望価格で売却できなくなったりするなど、売主が不利益を受ける可能性があります。
レインズによって物件情報を不動産会社間で共有する仕組みが整えられているのは、物件情報を広く流通させ、不動産取引を活性化するためです。囲い込みは、こうした仕組みの目的とは反する行為といえます。

2015年頃には不動産の囲い込みが社会問題となり、国土交通省による制度改革も行われました。しかし、現在も一部の不動産会社で囲い込みが行われているとされています。

イメージ2:「囲い込み」とは?

なぜ「囲い込み」をするの?

では、なぜ不動産会社は囲い込みをするのでしょうか。

その背景には、不動産会社が受け取る「仲介手数料」の仕組みがあります。

例えば、売却を依頼されたA不動産会社がレインズに物件情報を登録し、他の不動産会社にも情報を共有したとします。
その結果、B不動産会社のお客様がその物件を購入することになった場合、A不動産会社は仲介手数料を受け取れるのでしょうか。
結論として、A不動産会社は売主から仲介手数料を受け取ることができます。
不動産会社が仲介する取引では、一般的に一つの売買契約について「売却側の仲介」と「購入側の仲介」の2つの仲介が発生します。
この場合、売主は売却の仲介を依頼するためにA不動産会社と媒介契約を結び、買主は購入の仲介を依頼するためにB不動産会社を利用します。
そのため、B不動産会社のお客様が買主になった場合、A不動産会社は売主から仲介手数料を受け取り、B不動産会社は買主から仲介手数料を受け取ります。
このように、売主側と買主側でそれぞれ別の不動産会社が仲介することを「片手仲介」といいます。

イメージ1:なぜ「囲い込み」をするの?

一方、A不動産会社が自社のお客様から買主を見つけた場合は、A不動産会社が売主と買主の両方の仲介をすることになります。
この場合、A不動産会社は一つの売買契約について、売主と買主の双方から仲介手数料を受け取ることができます。これを「両手仲介」といいます。
両手仲介は、片手仲介と比べて一つの売買契約から得られる仲介手数料が多くなります。

そのため、売主側の仲介会社が他社からの紹介を制限し、自社で買主を見つけようとすることがあります。これが囲い込みにつながる理由の一つです。

イメージ2:なぜ「囲い込み」をするの?

具体的な「囲い込み」の例

では、実際にどのような方法で囲い込みが行われるのでしょうか。

代表的な例を2つ紹介します。


◆レインズに物件情報を登録しない◆

一つ目は、レインズに物件情報を登録しないケースです。
そもそもレインズに登録しない場合だけでなく、登録はしているものの、図面や資料を掲載しないことで、他の不動産会社が詳しい情報を確認しにくくするケースも考えられます。
また、レインズでは物件の取引状況を示すステータスを登録する必要があります。

例えば、実際には購入の申し込みが入っていないにもかかわらず「申し込みあり」としておくことで、他の不動産会社からの問い合わせや紹介を抑えるといった方法も考えられます。

イメージ1:具体的な「囲い込み」の例


◆他の不動産会社からの問い合わせを断る◆

二つ目は、物件について問い合わせてきた他の不動産会社に対して、「すでに申し込みが入っている」などと伝えて紹介を断るケースです。

レインズ上の取引状況は変更されていないにもかかわらず、電話などで「申し込みが入っている」と伝えることで、他社からの紹介を断る場合があります。
また、「売主との都合が合わない」などの理由で、購入希望者の見学日時を必要以上に先延ばしにすることも考えられます。
このような方法で他の不動産会社のお客様に物件を紹介できないようにし、その間に自社のお客様から買主を見つけて両手仲介を狙うのです。

イメージ2:具体的な「囲い込み」の例

「売れるならいいのでは?」と思ってはいけない理由

「自社のお客様でも他の不動産会社のお客様でも、最終的に売れれば売主にとって問題ないのでは?」と思うかもしれません。

イメージ1:「売れるならいいのでは?」と思ってはいけない理由

しかし、囲い込みによって購入を検討する人の数が減ると、売却までの期間が長くなってしまう可能性があります。
また、なかなか買主が見つからないことで、売却価格を下げざるを得なくなるケースも考えられます。

つまり、囲い込みによって販売の機会が狭まることは、売主が「できるだけ早く」「できるだけ希望に近い価格で」売却する機会を失うことにつながる可能性があります。

イメージ2:「売れるならいいのでは?」と思ってはいけない理由

「囲い込み」の防止策

では、売主はどのようにすれば、不動産会社による囲い込みを防げるのでしょうか。

結論からいうと、囲い込みを完全に防止したり、実際に囲い込みが行われていることを見破ったりするのは簡単ではありません。
ただし、売主自身で確認できることや、囲い込みを疑うきっかけとなるポイントはいくつかあります。



◆レインズへの登録状況を確認する◆

専属専任媒介契約や専任媒介契約の場合、レインズへの物件情報の登録が義務付けられています。
売主にはレインズの登録証明書が交付され、売却依頼主向けのIDとパスワードを使って、自分が売却を依頼した物件の情報をレインズ上で確認できます。
図面や資料を含めて物件情報がきちんと掲載されているか、取引状況が「申し込みあり」になっていないかなどを、定期的に確認するとよいでしょう。

ただし、レインズに物件情報がきちんと登録されていても、電話などで「申し込みが入っている」と伝えて他社からの紹介を断っている可能性もあります。
そのため、レインズを確認するだけで囲い込みを完全に防げるわけではありません。

イメージ1:「囲い込み」の防止策



◆一般媒介契約を利用する◆

一般媒介契約では、複数の不動産会社に売却を依頼することができます。
そのため、一社だけに売却を任せる場合と比べて、複数の不動産会社から購入希望者を探してもらうことができ、囲い込みのリスクを分散させる方法の一つになります。

すでに専任媒介契約などを結んでいて、不動産会社による囲い込みが疑われる場合には、契約更新のタイミングで一般媒介契約に切り替え、複数の不動産会社に売却を依頼するという方法もあります。
ただし、複数の不動産会社に依頼すると、その分やり取りをする窓口が増えるため、売主側の負担が大きくなるというデメリットもあります。


◆不自然な状況がないか確認する◆

例えば、物件自体は市場の相場に近い適正な価格で売り出しているにもかかわらず、長期間にわたって問い合わせや見学希望がまったく入らない場合には、囲い込みを疑うきっかけになるかもしれません。
また、売却を任せている不動産会社のお客様からしか問い合わせがない場合も、注意して状況を確認したほうがよいでしょう。

ただし、問い合わせが少ない理由がすべて囲い込みとは限りません。
物件の価格や立地、時期など、さまざまな要因によって問い合わせが少なくなることもあります。

そのため、これらの状況だけで「囲い込みをされている」と決めつけるのは避けたほうがよいでしょう。

イメージ2:「囲い込み」の防止策

信頼できる不動産会社を選ぼう

ここまで囲い込みについて解説してきましたが、すべての不動産会社が囲い込みを行っているわけではありません。
物件情報をきちんと広く共有し、誠実に売却活動を行っている不動産会社ももちろんあります。

不動産会社に売却を相談する際は、査定価格や各社独自のサービスだけを比較するのではなく、担当者の話もしっかり聞いて、その会社が信頼できるかどうかを見極めることが大切です。

専任媒介契約にするか一般媒介契約にするかにかかわらず、囲い込みを避けるためには、信頼できる不動産会社を選ぶことが何より重要といえるでしょう。

住まいを売る レインズ 囲い込み
公開日:2026/09/11

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