どの部門にも
アホがいます
a wall is overcome.



当時、世間ではもちろん、社内でもまだその存在価値を認められていなかったリフォーム部門。前評判は聞いていたが、まさかここまでとは・・・。 それまで、何かと器用にこなしてきた佐藤だったが、この時ばかりは面食らった。制度もない。システムもない。信用も信頼もない。喜びもない・・・。 「混沌」。 まさにこの言葉がぴったりとくる状況に放り込まれ、その整理と、事業を軌道に乗せることを任されたのだ。

佐藤率いるウィル空間デザイン 住宅営業部は、当社の流通営業グループで中古住宅を購入する顧客に、併せてリフォームを提案し、 より満足度の高い住まいを手に入れていただく夢実現のサポート業務を行う。引き渡しを受けた時の顧客の喜びは、半端なものではない。 至上の喜び、素晴らしい笑顔、感動の涙。かのTV番組のごとく顧客は喜びを表現し、担当社員はやりがいを覚える。
提案と一口に言っても、建築知識、デザインセンス、コミュニケーション力はもちろん、購入される建物がリフォームに適しているかの判断、 マンションであればその規約に違反していないかを確認する作業、取っ手一つのセレクトにまでお付き合いする根気、施工部門との折衝、 顧客の予算管理と自社の売上管理など、汎ゆる能力が求められる。チーム発足当初は、「不動産の営業に比べれば難易度は低いだろう」と評されていたが、 それはとんでもない話だった。
佐藤が引き継いだ当時、リフォーム部門は発足から2年3か月が経過していた。顧客はおろか、社内からの信用・信頼は“0”に等しかった。 中古住宅を購入してリフォームをする『中古住宅×リフォーム』事業は、軌道に乗るどころか失敗事業としてのレッテルを貼られかけていた。 物件担当社員、ローン担当社員、施工担当者の誰もが慣れない新事業に迷い疲れていた。そんな状態だから顧客からクレームがこない訳がない。 ほぼ全ての現場でクレームは起こった。その状況に、チームメンバーたちも耐えられず、退職者も出た。 佐藤は参っていた。 しかし、悩む間もなく、容赦ない言葉が飛んできた。




その日も佐藤は、完成した部屋を見た顧客からの罵声を浴びていた。 照明の位置が少しズレていたのだ。1~2cmという世界の話。住むに支障のあることではなかった。「これくらい・・・」と言ってしまいそうなレベル。 しかし、妥協はできない。完成した空間をすべて取り壊し、一からやり直すこととなった。 「何が何でも○月までに終わらせてくれ!」お客様の怒り。 いたたまれない思い。刻一刻と迫る期日。施工業者を説得し、深夜に及ぶ工事が続いた。
そんな中、さらに追い打ちをかけるように、鳴り響く携帯電話のベル。同時進行中の他現場のクレーム電話だ。



朝も夜もおかまいなしに鳴る着信音が耳にこびりつき、眠れなかった。今度は何が起こったんや・・・。。。 電話が鳴る度に怯える日々が続いた。 その間、何度も着信音を変えた。まさに地獄のような日々だった。

しかし、佐藤はその傍ら、チーム内の整理にも着手していた。 器用な佐藤は、事務仕事も苦ではなく、見積もりなどの書類管理、 顧客の進捗管理など次々と効率化を試みた。 それまで使ったことのないソフトにも挑戦し使いこなした。そして、顧客へのプレゼン方法、社内啓蒙、 施工部門との歩み寄り、ホームページを利用した実績整理。 文句を言いつつ、不満顔を浮かべつつも、すべきことを整理し、着実に整備・改善していった。状況は改善され、確実に佐藤の力もついていった。

2007年。怒濤を超え、『中古住宅×リフォーム』はウィルになくてはならない事業になった。
「良い意味で会社には期待していません」佐藤は言う。
かつては、会社に頼っていた。会社から言われたことはきちんとやる、いわゆるできるサラリーマン。 しかし、誰もが初めてという『中古住宅×リフォーム』事業を任されたとき、答えを提示してくれる人は誰ひとりとしていなかった。 今、思えば、新事業とはそんなものである。だが、当時は、誰かが答えを示してくれる・・・と甘い考えでいた。 頼りになる先輩やかつての上司も、「大変そうやなあ、頑張れよ」と、励ますことしかできなかった。




佐藤は気付いた。今までは随分会社に甘えていたということに。未知の領域で頭を打ちながら、様々な逆境に打ちのめされながら、自分の頭で考え、考え、考え、 乗り越えた先に得られるものがあった。本当の自信、プライド、そして、必死にもがきながらも使命を全うしようとする自分を信じてついてきてくれるメンバーの存在。 正直、それまで人なんて信用していなかった。部下ができても、心底、部下の幸せを考えるなんてできなかった。部下を褒めるより部下の愚痴を言う方が多かった。 ところが今は違う。部下だけではなく、物件担当、ローン担当、施工担当、広告担当に及ぶまで、この事業に関わるすべての人を大切に思える。 それがあるからこそ、他社では成功し難い『中古住宅×リフォーム』事業を軌道に乗せ、注目を浴びることができていることを、身にしみてわかっているからだ。


現在は、写真のように「中古住宅×リフォーム」事業の講演をする機会も増えている。

自分が事業を動かしていく面白さ、会社の数年後を決めて行く面白さを知った佐藤の目標は、 日本における『中古住宅×リフォーム』のリーディングカンパニーになること。 その具体的指標として、まずは、現在6人で6億円の売上を、 メンバーを30人に増やし30億円を達成すること。 『中古住宅×リフォーム』がウィルの代名詞となって世に轟くイメージは、既にできている。